2021年11月30日 更新

抵抗について学ぼう

どうも、クラゲです。
電子回路で今も昔も欠かせない部品として抵抗があります。

ほとんど使わないうんちくは置いておき、現代の電子工作やIoTを行う上で必要な実践的な内容に絞ります。具体的な使用例は3つに絞りました。

目次

[TOC]

抵抗で最も重要なこと

抵抗を選ぶ上で最も重要な情報が抵抗値[Ω]です。Ωはオームと読みます。
その名の通り、抵抗値が大きければ大きいほど電流が流れにくくなります。
そして中学校で習ったオームの法則さえ計算出来ればだいたいOKです。

  • V:電圧 [V]
  • I:電流 [A]
  • R:抵抗値 [Ω]

抵抗の種類

実際にはたくさんの種類がありますが、IoTを行う上では3種類あるとまずは覚えておけばOKです。

  • リード抵抗
  • チップ抵抗
  • 可変抵抗

リード抵抗は足が付いたもの、チップ抵抗は足なしの四角い小さなもの、可変抵抗はいわゆるボリュームなど手でつまんで抵抗値を自由に変えられるものです。
電子工作初心者の人はチップ抵抗は使わないので無視してもOKです。ブレッドボードにも挿さらないし、小さいので半田付けもちょっと難しかったりします。

リード抵抗の見方

足が付いているリードタイプの抵抗には、カラフルな色で輪が印刷してあります。帯の数は、だいたい4本が多くて、とりあえず端っこの金・銀(許容差)は無視すると、残りの3本で抵抗値を表しています。
http://www.jarl.org/Japanese/7_Technical/lib1/teikou.htm

抵抗のカラーコードを覚えるのが面倒な人は、こんなツールを使うと楽ですね。
http://www.azusa-st.com/resistor/calc4.htm

抵抗のカラーコードについて、何だか良く分からんって人は、ここで照らし合わせるとい良いです。使う抵抗値は大体決まってるので。
http://part.freelab.jp/s_regi_list.html

使っているうちに、汚れて赤と橙などの色が識別しにくくなることがあります。
自信がないときはテスターを使って抵抗値を確認しよう!

チップ抵抗の見方

ある程度までの小さなチップ抵抗であれば、抵抗値が印字されています。

ただし、その書いてある数値がそのまま抵抗値ではありません。 例えば102だったら102[Ω]ではなく10 x 10^2 [Ω]、つまり1000[Ω]という意味です。

可変抵抗の見方

可変抵抗はその名の通り、抵抗値を変えられる抵抗です。例えば1kΩの可変抵抗があったとすれば、01000Ωまでの値を自由に変えることができます。
通常、足が3本あり、両端の足にはそれぞれGNDと電源を繋ぎ、真ん中の足はマイコンへの入力端子に繋ぎ、ADCで値を読むのが一般的です。

参考:https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/trimmer-resistors-guide

向き(極性)は無い

一般的な2本足の抵抗は +- を意識する必要はありません。つまり向きはどちらでもOKです。

※ただし、可変抵抗の場合は3本足であり、真ん中の足はGNDや電源に繋げないのが一般的な使い方ですのでご注意ください。

熱に注意

抵抗には消費できる電力の上限が決まっています。これを定格電力といいます。

小さな抵抗値の抵抗に上限を超えた大きな電圧をかけると、抵抗は熱としてエネルギーを放出しますが、熱に耐え切れず燃えて煙が出てしまうことがあります。
と、ちょっと驚かせてしまいましたが、最近のUSBなど5Vを電源とする電子工作の場合、抵抗値が1kΩ以上あれば、ほとんどの場合気にしなくても大丈夫です。
これより小さい抵抗値や、5Vより大きな電圧に抵抗を使用する場合は、計算して安全を確かめましょう。掛け算と割り算でできます。
電力PはP=IVです。オームの法則を適用すると以下の計算式になります。
$$ P = \frac{V^{2}}{R} $$

つまり、抵抗にかかる電圧値と抵抗の抵抗値が分かれば電力Pが求まります。
一方、どの電力値まで大丈夫かは、抵抗のスペックに書いてあります。1/4Wであれば0.25W、1/6Wであれば0.17Wです。
ただし、世の中には誤差というものがあり、スペックの数値ぴったりということはありません。定格ギリギリで考えてしまうと、誤差の影響で定格を超えてしまう可能性があるので、通常は定格の半分以下くらいで余裕を持って使うのがコツです。

使用例1:LEDの制限抵抗

ArduinoなどのLチカではお馴染みの回路です。

LEDに電圧をかけて光らせたい場合、LEDには定格電圧があり、だいたい3V未満です。
電子工作によく出てくる電圧は5Vや3Vが多いです。なので、そのままLEDに繋いでしまうとLEDが壊れてしまうので、間に抵抗を入れて電圧を下げるという訳です。
とりあえず光らせたいだけなら、超ざっくり言うと、抵抗は330〜1kΩくらいを選んでおけば大丈夫です。
もちろん計算した方が良いので、下記のサイトなどで計算してみましょう。
ポイントは"オームの法則"と、LEDにはVfという固定の電圧値があるということです。
http://www.marutsu.co.jp/pc/static/large_order/led

使用例2:プルアップ抵抗、プルダウン抵抗

「何これ?意味ないじゃん」
クラゲも初めて見たときは、何のためにプルアップやプルダウン抵抗が付いているのか分からなかったです。
プルアップ抵抗・プルダウン抵抗は、簡単に言うと、電気信号のデフォルト値を決めるためのものです。
プログラミングでも初期値がないと不安定になったりしますよね?
無くても動いちゃう場合が多いけど、不安定を払拭するためにプルアップ or プルダウン抵抗を付けます!
3.3Vや5Vなど電子工作で使うプルアップ抵抗・プルダウン抵抗の抵抗値は、超ざっくり言うと10kΩ〜100kΩくらいで良いです。
ただし、I2Cで使う場合のプルアップ抵抗はざっくり1kΩ〜10kΩくらいが良いでしょう。I2C何それ?という人は無視してください。
この値は経験だけで言っているのではなく、ちゃんと理由があり計算出来ます。気になる人はこちらをどうぞ。
http://www.picfun.com/midi2c02.html

使用例3:抵抗分圧

元の電源(V+)に対し、抵抗値の比率を利用して電圧値を変化させるという技です。

この図のように同じ抵抗を2個使った場合は1:1の比率なので、電源(V+)の半分の電圧が入力側(INPUT)に伝わります。 もし2kΩと1kΩの組合せならば、2:1の比率になるため1/3になります。 IoT用途で使うとしたら主に以下2つです

  • アナログ出力の光センサや圧力センサの値を読む
  • 可変抵抗を利用するときに使う

アナログ出力の光センサや圧力センサなどの場合は、片側の抵抗の代わりにセンサに置き換えて使います。センサは環境により抵抗値が変化しますが、マイコン等では抵抗値を直接読むことは出来ません。そこで、この回路を使って抵抗値から電圧値に変換して読めるようにするという仕組みです。

可変抵抗の場合は、中に2つの抵抗が入っていてツマミを回すことによりその抵抗値の比率が変わると捉えて下さい。ツマミの回転量を電圧値に変換するという仕組みです。

こちらに分かりやすく計算方法などが詳しく書いてあります。全てはオームの法則で説明できます。
http://www.kairo-nyumon.com/resistor_divider.html

その他

その他、合成抵抗、入力保護抵抗、ダンピング抵抗、0Ω抵抗、放電抵抗、シャント抵抗、スナバ回路など色々使い方がありますが、現代ではプロの領域になるため割愛します。

以上、抵抗について学ぼうでした!