2023年01月30日 更新
どうも、クラゲです。
ラズパイでカメラや画像を扱う上で、最も重要なOpenCVというライブラリのインストール方法と具体的な使い方についてご紹介します。
[TOC]
CVとはComputer Visionの略です。OpenCVはインテルが開発しているオープンソースのComputer Vision向けのライブラリで、具体的には、画像処理、画像解析、機械学習などが行えます。
OpenCVをPythonで使うためには cv2
モジュールを import
する必要があります。cv2
の 2
はバージョンとは関係ないのでご注意ください。OpenCV2でもOpenCV3でもOpenCV4でも、import cv2
です。
「自分のラズパイにOpenCVがインストールされているのか?」「インストールされているOpenCVのバージョンはいくつなのか?」を確認します。
python
と打つと対話モードに入るので、>>>
の後に import cv2
と入力します。
python
>>> import cv2
>>>
ここで >>>
とだけ出てきた場合はOpenCVがインストールされています。
一方で、ModuleNotFoundError: No module named 'cv2'
などと出てきた場合はインストールされていません。この後の項目に進んでOpenCVをインストールしましょう。
バージョン確認は続けて cv2.__version__
と打ち込みます。
python
>>> import cv2
>>> cv2.__version__
'4.6.0'
そうすると '4.6.0'
などバージョン表示されます。対話モードを終了するには Ctrl + Z
キーを入力してください。
ラズパイでOpenCVのインストールしようとすると、長い時間待たされた後にエラーになった経験はありませんか? 以下の手順で行えば簡単にすぐインストールできます。
opencv-python
を活用します。LXTerminalから以下のコマンドを打ちます。
まず必要なライブラリをインストールします
sudo apt install -y libatlas-base-dev
numpy
というモジュールのバージョンが低いとエラーになるため、バージョンアップします。
pip install numpy --upgrade
最後にopencv-python
のバージョンを指定してインストールします。
pip install opencv-python==4.6.0.66
バージョンを指定しない場合は最新バージョンが対象となりますが、エラーになる場合があります。他のバージョンをインストールしたい場合は、こちらを参照してください。
例えば、以下のようなエラー表示が出た場合は、古いバージョンに変えてみましょう
ERROR: Could not build wheels for opencv-python which use PEP 517 and cannot be installed directly
ERROR: Could not build wheels for opencv-python, which is required to install pyproject.toml-based project
ちなみにクラゲの環境は以下の通りです。
まず表示したい画像をラズパイの実行プログラムと同じディレクトリに用意してください。ファイル名はcat.png
とします。
こちらがコードです。
import cv2
image_file = 'cat.png'
img = cv2.imread(image_file)
cv2.imshow('image', img)
cv2.waitKey(0)
cv2.destroyAllWindows()
cv2.imread
で画像ファイルを読み込みます。また、cv2.imshow
で画像を表示します。第一引数は画像表示ウィンドウの名前で、任意の文字列を付けることができます。第二引数にimreadで読み込んだ画像を指定します。
ラズパイ上では、こんな感じで表示されます。画像が表示ウィンドウにフォーカスがあるとき(タイトルバーが濃い色になっているとき)、何かキーを押すとプログラムが終了します。
cv2.waitKey(0)
はキーボードが押されるまで処理を待つ関数です。この関数がないと、プログラムが終了してしまうため、画像表示を見ることができません。
cv2.waiKey
は引数の数値だけ処理を待つという関数です。数値の単位はms(ミリセカンド)です。例えば cv2.waitKey(1000)
であれば1秒待ちます。ただし、引数が0
の場合は特別で、0秒待つという意味ではなく、キーボードが押されるまでずっと処理を待つという意味になります。
最後のcv2.destroyAllWindows
は、全てのウィンドウを閉じるという関数です。実はこの記述は無くても、プログラム終了と同時にウィンドウは閉じられますが、お掃除処理として念のために書いておきましょう。
cv2.resize
を使うと画像サイズを変更できます。
第一引数に入力画像、第二引数に サイズ(width, height)を指定します。
以下のコードは、先程のコードに1行追加しただけです。実行すると画像ウィンドウが400×300のサイズに小さくなって表示されることが確認できます。
import cv2
image_file = 'cat.png'
img = cv2.imread(image_file)
img = cv2.resize(img, (400, 300))
cv2.imshow('image', img)
cv2.waitKey(0)
cv2.destroyAllWindows()
OpenCVでは、画像を表示しているウィンドウに文字や図形を重ね合わせて描画することができます。cv2.putText
は文字列を描画する関数です。引数は以下が指定できます。
出力先画像, 文字列, 位置(X, Y), フォント, フォント倍率, 色(B, G, R), 線の太さ
※位置は、テキストの左下座標が基準
以下は、最初のサンプルコードにcv2.putText
を1行追加した例です。
import cv2
image_file = 'cat.png'
img = cv2.imread(image_file)
cv2.putText(img, "Please Don't Disturb.", (80, 530), cv2.FONT_HERSHEY_SIMPLEX, 2, (0, 255, 0), 8)
cv2.imshow('image', img)
cv2.waitKey(0)
cv2.destroyAllWindows()
なお、文字列に日本語を書くと文字化けします。こちらのページに対策があります。
cv2.rectangle
は長方形を描画する関数です。第1引数は出力先画像、第2引数以降は以下が指定できます。
左上の座標(X, Y), 右下の座標(X, Y), 色(B, G, R), 線の太さ
※線の太さを -1 にすると、長方形の中身が塗りつぶしになります
以下は、最初のサンプルコードにcv2.rectanglet
を1行追加した例です。
import cv2
image_file = 'cat.png'
img = cv2.imread(image_file)
cv2.rectangle(img, (360, 240), (550, 280), (20, 20, 20), -1)
cv2.imshow('image', img)
cv2.waitKey(0)
cv2.destroyAllWindows()
他にもcv2.line
で直線描画、cv2.circle
で円描画、cv2.ellipse
で楕円描画などありますので、色々調べてみて下さい。なお、サンプルソースは静止画の例でしたが、カメラ映像にも同様に表示させることができます。
今までは静止画でしたが、カメラ映像の動画を読み込んで表示します。
ラズパイにUSBカメラを接続してから、以下のコードを実行してみて下さいカメラ映像が動画としてリアルタイムに表示されます。
import cv2
cap = cv2.VideoCapture(0)
while True:
ret, frame = cap.read()
cv2.imshow('image', frame)
key = cv2.waitKey(1)
if key != -1:
break
cap.release()
cv2.destroyAllWindows()
上記のコードの解説です。
cv2.VideoCapture
は引数にデバイス番号を指定して"VideoCapture object"を取得する関数です。
ラズパイに接続されているカメラは1つだけなので、デバイス番号は 0
を指定します。ただし、プログラム終了後にデバイス番号が変わる場合があります。その場合は、抜き差し前後で以下のコマンドを実行することによりデバイス番号を確かめることもできます。
ls /dev/video*
# 実行結果例
# /dev/video0
OpenCVでカメラ映像を取得する手順は、動画として一括読み込み&表示ではなく、カメラ画像1フレーム毎の読み込みと表示を行う必要があります。1コマ読み込んで1コマ表示するということを繰り返すため、無限ループになっています。
取得した"VideoCapture object" の cap
を使って、cap.read
とすることで、カメラからの静止画像を読み込みます。静止画像は2番目の戻り値 frame
へ代入されます。1番目の戻り値 ret
には正しく静止画像が読み込みできたか否かのブール値(True/False)が入ります。
画像を表示させる手順は画像ファイル表示のときと同じで、cv2.imshow
を使います。
無限ループのままだとプログラムが終了できないため、キーボード入力があったときに break
させループから抜け出します。
今までの静止画像表示のときのように cv.waitKey(0)
にしてしまうと、そこで止まって動画にならないため、引数を最小値の 1
に設定しています。当然数値を大きくするとカクカクした映像になります。
キーが押されていないときの cv.waitKey
の戻り値は -1
です。つまり -1
以外のときは、何らかのキーが押されたということになりますので、それを判別して break
しています。
不要になった"VideoCapture object"は、最後にcap.release
で解放します。
以上カメラ映像表示について説明しましたが、OpenCVによるカメラ映像の読み込みと表示に関しては、ほぼこのコードのまとまりをテンプレートとして使えます。
OpenCVではcv2.imwrite
を使うことにより簡単に画像の保存ができます。第一引数に保存ファイル名、第二引数に読み込んだ画像等の変数(今までの例だと img
や frame
)を指定します。
import cv2
image_file = 'cat.png'
img = cv2.imread(image_file)
cv2.putText(img, "Please Don't Disturb.", (80, 530), cv2.FONT_HERSHEY_SIMPLEX, 2, (0, 255, 0), 8)
cv2.imwrite('cat2.png' ,img)
実行するとcat1.png
に文字列を描画したcat2.png
が出来ます。
このように画像に処理を実施(今回の例だと文字描画や図形描画)した後や、カメラ映像の1フレームなどを保存するときに使用します。
以上、「OpenCVで画像・カメラ表示、文字・図形描画」でした!